「空き家問題」~行政代執行費用は必ず徴収される。給与・財産を差し押さえられることも~

空き家について

皆さん、こんにちは。

特定空家等に対する措置は「命令」の措置で終了というわけではありません。命令の措置に従わなかった場合、あるいは要件が満たされていないと判断された場合、必ずではありませんが「代執行」の措置の手続きに進む可能性があります。

今回はその「代執行」についての詳細をお伝えしていきます。

「所有者等に特定空家等における必要な措置を命じたのにもかかわらず、その措置を実施しなかった場合、実施しても十分ではない場合、実施しても期限内での完了が見込まれなかったとき」は、代執行される可能性があります。

文書による戒告

代執行される前に、以下の内容が記載され、文書によって戒告されます。

●命じられた措置を行うのに相当の猶予が定められた期限
●その期限までに義務の措置が行われなかった時は、代執行を行う旨

再戒告

戒告で定められた措置命令の期限までに実施されないなくても、必ずしも直ちに代執行が行われるわけではありません。

例えば、実施期限を延長することが許され難い状況であるか、または再戒告し機会を与えることで、義務者が自ら実施する期待がされるかなど状況が判断されます。

代執行令書の通知

戒告または再戒告を受けた者が、指定の期限までにその義務を実施しない場合は、以下の内容が記載された代執行令書が通知されます。

●代執行を行う時期
●代執行のために派遣する執行責任者の氏名
●代執行に要する費用の概算による見積り額

緊急代執行の場合

非常の場合または危険切迫の場合においては、戒告及び代執行令書の手続きを経てなくても代執行が行われる時があります。

代執行における動産等の取扱い

代執行を行う措置の内容が、特定空家等の全部の除去(解体)で、命令で動産等に対する措置を含めている場合は、戒告書または代執行令書において以下の内容も明記されます。

●対象となる特定空家等の内部、またはその敷地にある動産等については、実施の期限又は代執行をなすべき時期の開始日までに運び出し、適切に処分などをすること
●特定空家等の除去(解体)により、発生する動産等については、関係法令にしたがって適切に処理すること
●実施する期限までに実施されない場合は、動産等に対する代執行する旨

また、代執行により発生した廃棄物や危険を生ずる動産等であって、所有者が引き取らない物については、関係法令に従い適切に処理されます。

費用の徴収

行政代執行に要した一切の費用は、行政から徴収され支払わなければなりません。

費用について行政が義務者に対して有する請求権は代執行法に基づく請求権で、所有者等が徴収される金額は代執行の手数料ではなく、実際に代執行に要した費用となります。

したがって、作業員の賃金、請負人に対する報酬、資材費、第三者に支払われる補償金などは含まれますが、義務違反の確認のために要した調査費などは含まれません。

費用の徴収は、代執行法の規定により代執行の終了後に、「実際に要した費用の額」と「納期日」が定められた納付命令書によって請求されます。

支払われなかったときは給与・財産の差し押さえ

前途でもお伝えしたように代執行の費用に関して、行政はあくまでも立替えをしてるにすぎず、必ず所有者が支払わなければなりません。しかし、所有者が代執行でかかった費用の支払いを拒否したり、全額支払うことができない場合はどうなるのでしょうか。

それは「給与・財産の差し押さえ」です。

所有者の財産、つまり現金・預貯金・不動産・株式・車など財産とされる全てのものが差し押さえの対象となります。
給与に関しても手取りの4分の1までが差し押さえの対象となり、これは所有者の生活に影響がない範囲とされています。例えば、給与が手取り50万円だった場合、12.5万円までが差し押さえの対象額となります。

もう一つ、代執行の費用はたとえ所有者が自己破産したとしても支払い義務は消えません。これは行政代執行の費用は、国税を滞納した場合と同じで「強制徴収」が認められているからです。
これらのことから、所有者となっている空き家が行政代執行されたら、いかなる理由においても全額支払い終えない限り、支払い義務が消えることはありません。

特定空家等に指定されると、求められる措置が進めば進むほど厳しい措置が取られます。そうならないためにも、所有している空き家のことで行政からアクションがあった時点で、ご自身のためにも早急に対応することが重要となるでしょう。

空き家をお持ちの方!空き家の管理・活用・売却についてはコチラ

遺品整理・不用品回収はコチラ

タイトルとURLをコピーしました