皆さん、こんにちは。
前回、遺産相続をするにあたって「亡くなってから4か月以内にするべき月以内にするべき手続き」をお伝えしました。
今回は、4か月以内にするべき手続きの続きと、「亡くなってから10か月以内にするべき手続き」をお伝えしていきます。ぜひ、参考にしてみてください。
準確定申告は電子申告(e-Tax)もできる!
2020年(令和2年分)から、準確定申告も電子申告(e-Tax)ができるようになりました。
それにより自宅でも手続きが行え、税務署などに足を運ぶといった手間が省けるようになりました。
また、手続きを電子申告で行えば、被相続人が事業所得、不動産所得があり、事前に青色申告の承認を受けていたのであれば、青色申告特別控除(65万円)が適用され節税にもなります。
因みに、紙で申告した場合、青色申告特別控除の上限は55万円と電子申告と10万円の差があるので、青色申告の承認を受けていたなら、電子申告での申告をおすすめします。
1.電子申告をする際に必ず揃えておくものは3つ
①マイナンバーカード:マイナンバーカードには「電子証明書」という、公的な認証に必要な情報が組み込まれており、これがなければ電子申告を行うことはできません。
なので、電子申告を行うのであれば、マイナンバーカードの取得は必須ということになります。
マイナンバーカードの交付は、各自治体でできます。
また、相続人が複数人でも、マイナンバーカードは代表者一人が保有していれば問題ありません。
②利用者認識番号:利用者認識番号は電子申告する前に、税務署窓口や国税庁ホームページから取得できる、16桁の番号です。
スムーズな方法として、国税庁ホームページからe-Taxのサイトにアクセスし、「e-Taxの開始届の提出」を行います。そうしましたら、16桁の番号が即時発行されます。
ちなみに、電子申告にはマイナンバーカードを使わない「ID・パスワード方式」もありますが、こちらは準確定申告には対応しておりません。(※2023年11月現在)
③e-Taxのサイトから「e-Taxソフト」をダウンロードする:パソコンであればWindowsのパソコン、またはマイナンバーカードの読み取りに対応しているスマートフォンを用意してください。
(注)「e-Taxソフト」はMacには対応してませんので注意してください。(2023月11月時点)
2.電子申告する際に、必要な提出書類
①所得及び復興特別所得税の準確定申告書
通常の確定申告の様式を使います。氏名欄には、相続人本人ではなく、次のように記載してください。
(被相続人) 〇〇 〇〇(氏名)
または
(被相続人) 〇〇 〇〇(氏名) (相続人) 〇〇 〇〇(氏名)
準確定申告の記載例(相続人や包括受遺者が1人の場合) ※国税庁ホームページから抜粋
準確定申告の記載例(相続人や包括受遺者が2人以上の場合) ※国税庁ホームページから抜粋
②被相続人の所得及び復興特別所得税の確定申告書付表
これは相続人ごとに税額や還付金の分け方などを記載する書類です。
ここで気を付けたいのは、紙で申告する場合、相続人が1人なら提出は不要ですが、電子申告においては相続人が1人でも必要となるので注意しましょう。
被相続人の所得及び復興特別所得税の確定申告書付表 ※国税庁ホームページから抜粋
③準確定申告の確認書
相続人が2人以上いる場合に必要な書類です。
各相続人が申告内容等を確認し、署名、捺印した上で、確認書のイメージデータ(PDF形式)を作成し、e-Taxで送信します。
準確定申告の確認書 ※国税庁ホームページから抜粋
④委任状
還付金があり、かつ相続人が2名以上で、相続人の代表者がまとめて受け取る際に必要となる書類です。
以上が準確定申告を電子申告で行う際に必要な基本的な提出書類です。
この他に、申告内容によっては、必要書類は増えます。
委任状(準確定申告用) ※国税庁ホームページから抜粋
10か月以内にする手続き
1.相続税の申告と納税
相続税の申告と納税の期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」となっています。
もし期限を過ぎてしまうと、延滞税などがかかるので必ず期限は守りましょう。
また、遺産分割には期限はありませんが、先に完了させることで相続税申告が一回ですむので、相続税申告の関係からも10か月以内に完了しておくことが望ましいでしょう。
2.相続税の申告が必要なケース
①相続税の基礎控除額を超えている人・・・相続税には基礎控除が設けられており、
【3.000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額】の計算式で求められます。
遺産の総額がこの基礎控除額を超えた場合、相続税の申告が必要になります。
②配偶者控除(配偶者の税額計算)を受ける場合・・・配偶者が相続した財産のうち、
「配偶者の法定相続分の金額以下」または「1億6.000万円以下」の場合は、相続税がかかりません。
③小規模宅地等の特例を使う場合・・・被相続人の土地などについては、「小規模宅地等の特例」を使うことで相続税評価額が最大で80%軽減されます。
これらの特例の適用を受けた場合、たとえ税額が0円だったとしても相続税の申告は必要ですので、注意しましょう。
3.遺産分割協議を行う
遺言書があれば遺言書通りに相続財産を分けますが、遺言書がない場合は、故人の遺産を「誰が」「どの財産を」「どのように相続するか」を法定相続人全員で「遺産分割協議」を行い、分け方を話し合います。ただし、相続人が1人なら必要ありません。
①遺産分割協議は必ず相続人全員で行う必要があります。
しかし、必ず集まらなければいけないわけではなく、例えば電話や手紙、今ならメールなどでも協議を進めることも可能です。
ここで注意しなくてはならないのは、どのような形でも、相続人全員が参加していないと、遺産分割協議は「無効」となってしまいます。
②遺産分割協議に参加する相続人と優先順位は、法律によって決められている
また、被相続人(故人)に配偶者(夫や妻)がいた場合、配偶者は必ず相続人となります。
具体的な優先順位を以下で説明しています。(※こちらは配偶者がいた場合の順位です)
【1位順位者→被相続人(故人)から見て子や孫にあたる人】・・・相続の割合は1/2。複数人いる場合は均等に分配する。
【2位順位者→被相続人(故人)からみて、父母や祖父母にあたる人】・・・相続の割合は1/3。親が複数人いる場合は均等に分配する。
また、被相続人(故人)に最も近い世代のみが相続人となるため、親・祖父母ともに存命でも相続できるのは親のみとなります。
【3位順位者→被相続人(故人)からみて、兄弟や姉妹、または甥や姪。】・・・相続の割合は1/4。
※ちなみに配偶者の相続の割合は、1位順位者と相続する場合、1/2。
2位順位者との場合は2/3。そして、3位順位者との場合は3/4となります。
以上、今回は4か月以内にするべき手続き、電子申告(e-tax)での準確定申告の申請の手順を中心にお伝えしました。
電子申告は自宅で申請が可能なので、税務署などに足を運ぶ手間が省けるところが魅力の一つではありますが、ご自身に合った申請方法を選ぶことが一番です。
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