空き家について

はじめに

空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家法)とは?

正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが、「空家等対策特別措置法」や「空き家法」と略称されて呼ばれることが多いようです。

この法律は、近年増加し続け深刻化されている空き家を問題視し、それを解決するために、2015年5月に全面施行された法律です。

また、一部を改正した法律(令和5年施行)により、適切な管理が行われていないことで、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態の空家等を「管理不全空家等」に位置づけ、自治体はこの管理不全空家の所有者に対しても、指導・勧告ができることとなりました。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行される前、自治体は所有者の許可なしに勝手に敷地内に立ち入ることができませんでした。そのため、長年放置された空き家と認識していても、所有者と連絡がつかないことには自治体はどうすることもできなかったのです。

その結果、深刻な社会問題にまで発展したと考えられます。

しかし、この法律が施行されたことにより、自治体はたとえ所有者と連絡がつかずとも敷地内に立ち入り調査を行えるようになりました。

目次

1.空き家の定義について

2.空き家は4つに分類される

3.空き家が発生する要因

4.空き家になるリスク

5.「特定空家等」に指定される4つの定義

6.改正法の要となる3本の柱

  6-1. 1本目の柱「活用の拡大」

  6-2. 2本目の柱「管理の確保」

  6-3. 3本目の柱「特定空家等の除去等」

7.適切な管理が行われていない、管理不全空き家等に対する措置

8.空き家・管理不全空き家等に対する措置による5つの手順

   8-1.空家等の所有者等の事情の把握

   8-2.調査

   8-3.情報の提供・助言

   8-4.指導

   8-5.勧告

   ●勧告が行うことができる判断の参考

   ●勧告の実施

9.特定空家等に対して法の規定を適用した場合の措置

10.特定空家等に対する措置の手順

  10-1.特定空家等の所有者等の事情の把握

  10-2.報告徴収および立ち入り調査

  10-3.特定空家等の所有者等への助言又は指導

       ●助言又は指導の告知

       ●助言及び指導の趣旨とその内容

  10-4.特定空家等の所有者等への勧告

       ●勧告の実施

       ●勧告の措置の内容

       ●相当の猶予期限とは

  10-5.特定空家等の所有者等への命令

       ●「正当な理由」とは

       ●命令においての相当の猶予期限

       ●所有者へ事前の通知

       ●命じようとする措置の内容

       ●措置を命ずるに至った事由

       ●命令の実施

  10-6.特定空家等においての代執行

       ●文書による戒告

       ●再戒告

       ●代執行令書の通知

       ●緊急代執行の場合

       ●代執行における動産等の取扱い

       ●費用の徴収

  10-7.略式代執行

       ●「過失がなくて」「確知することができない」とは?

       ●動産等の取扱い

       ●費用の徴収

  10-8.災害その他、非常の場合

       ●緊急代執行を行うことが想定される具体的なケース

11.管理不全空家等と特定空家等のそれぞれの参考基準

   11‐1.保安上危険に関して参考とする基準

         ●建築物等の倒壊

         ●擁壁の崩壊

         ●部材等の落下

         ●部材などの飛散

   11‐2.衛生上有害に関して参考とする基準

         ●石綿の飛散

         ●健康被害の誘発

   11‐3.景観の悪化に関して参考とする基準

   11‐4.周辺の生活環境の保全への影響に関して参考とする基準

12.空き家にしないために大切なこと

13.空き家を放置しないための方法

   13‐1.自治体に空き家について相談をする

   13‐2.空き家・空き地バンクに登録する

   13‐3.空き家管理サービスを利用する

   13‐4.空き家をリフォームする

   13‐5.空き家を活用する

   13‐6.空き家を売却する

   13‐7.空き家を解体(除去)する

14.空き家対策・その他対策に関する税制特例

   14‐1.空き家の発生を抑制するための特例措置

   (空き家の譲渡所得の3.000万円特別控除)

         ●適用を受けるための主な要件

   14‐2.居住用財産の譲渡に関する特例措置

         ●適用を受けるための主な要件

   14‐3.低未利用土地等を譲渡した場合の、長期譲渡所得の特別控除

         ●適用を受けるための主な要件

最後に

1.空き家の定義について

空き家とは、簡単にいうと居住、他に使用されていない家や建物のことを指します。

2015年(平成27年)に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(略称:空き家法)」では、空き家の定義として「「空家等」とは、建築物またはこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がされていないことが常態であるもの、及び敷地をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く」と定義されています。

具体的な判断基準として、一年間を通して人の出入りの有無、水道、電気、ガスの使用状況、その物件が適切に管理されているか、物件の登記記録など総合的に見て「空き家」かどうか判断する、とされています。

2.空き家は4つに分類されている

総務省が実施している「住宅・土地統計調査」では、空き家を4つに分類しており

●売却用の住宅・・・新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅

●賃貸用の住宅・・・新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅

●二次的住宅・・・・別荘や残業などで遅くなった時に寝泊りするだけで、普段は人           が住んでいない住宅

●その他・・・・・・上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば転勤・入院などの             ために、居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建替えのな          どのために取り壊すことになっている住宅など(空き家の区分          の判断が困難な住宅を含む)

このうち「二次的住宅」「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」は、寝泊り目的などとして実際使用されていたり、売却・賃貸のために定期的に管理されていると考えられています。

一方で、「その他の住宅」に分類される空き家に関しては、実際に人が住んでおらず、長期にわたって不在であり、定期的な利用もされておらず、管理も不十分になりがちなため、そのまま放置される可能性が高い空き家といえます。

3.空き家が発生する要因

「その他」に分類されている空き家が発生する要因はさまざまだとされていますが、ここでは主な要因をいくつかお伝えしていきます。

●実家を相続したが、居住する予定はない

実家を相続したものの、既に自身は家やマンションを購入していたたり、実家が遠方で自身は職場や生活基盤ができているのもあり、居住する予定がない

●将来親族の誰かが住むかもしれない、他人が住むことへの抵抗感

思い出の詰まった実家を売却することへの躊躇いや、他人が住むことへの抵抗感から賃貸にも出せない、もしかしたら将来親族の誰かが必要とするかもしれない、などの理由から、まだ居住できる状態にも関わらず空き家になってしまう

●1人暮らしの親が高齢施設に入居、もしくは病気などで長期入院となった

親が1人暮らししていた実家が、親の施設入居や長期入院などの理由により空き家になってしまった

●解体費用をかけたくない、家財などを片付けるのが困難

解体するには相当の費用がかかります。その費用を工面できず、結果的に空き家を放置状態にすることになったり、家財や荷物が多すぎて簡単に片づけられず放置してる状態がつづいている

このように空き家が発生する要因はさまざまです。しかし、どの要因にしても放置し続ければ、「管理不全空き家」もしくは「特定空き家」に指定されるのは避けられないでしょう。

そうなる前に、空き家の所有者や将来、家を相続するといった方は早めに解決策を見出すことをおすすめします。

4.空き家になるリスク

空き家は適切な管理がされないと劣化が早く進み、そのリスクは所有者だけが被るというわけではありません。空き家を放置するということは、その近隣に住んでいる住民、大きくいえばその地域全体に悪影響を及ぼすことにも繋がります。

ここでは空き家を放置するリスクを具体的にいくつかまとめました。

●家屋の倒壊や破損の恐れ

空き家を放置することで劣化が進み、台風や地震などの災害で倒壊する危険性が高まります。また、破損した外壁材や屋根材などが落下して、隣人や通行人などに当たる恐れがあります。

●ネズミや害虫の発生

長期的な空き家は劣化の恐れだけではなく、ネズミや害虫の発生や繁殖に繋がります。これらが大量に発生すると近隣住宅にまで侵入したりと、衛生面からも悪影響を及ぼす可能性があります。

●ゴミの散乱や雑草の繁茂など景観の悪化

ゴミが散乱、不法投棄されていることで悪臭がしたり、雑草が繫茂する、庭木の枝が道路や隣家の敷地にはみ出し通行人に怪我をさせたりする危険性や、これらが景観の悪化を及ぼし、周辺地域の生活環境にも悪影響をもたらします。

●不法侵入や放火などの犯罪の危険性

空き家が放置されることで、不法侵入され不審者の出入りや、放火などといった犯罪の危険性が高まると同時に、治安の悪化に繋がる可能性があります。

このように、適切な管理を怠り、空き家を放置することで、所有者だけでなく、周辺地域の不動産価値が下がる可能性や、犯罪の温床にも繋がり、近隣に危険性や悪影響を与えるのです。

また、例えば破損した外壁材が落下、道路にはみ出た枝で通行人が怪我を負う、放火などの火災により隣家まで燃え移り損害を与えることになってしまうと、損害賠償責任を問われる可能性もあることを忘れてはいけません。

5.「特定空家等」に指定される4つの定義

また、定義された空き家の中で「空家等対策の推進に関する特別措置法」の調査において、以下のような状態であると判断された空き家は「特定空家等」と定義されます。

①そのまま放置することで倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態

②そのまま放置することで、著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態

④その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

6.改正法の要となる3本の柱

はじめにお伝えしましたが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部改正が2023年12月に施行され、新たに「空家等活用促進区域」が創設されました。

これは、悪影響を及ぼす特定空家等の除去等の更なる促進に加え、特定空家等に指定される前の段階を「管理不全空き家」とし、空き家の有効活用や適正な管理を確保し、空家等対策を強化するものとしています。

改正法は「活用拡大」「管理の確保」「特定空家等の除去等」が3本の柱とされています。

「活用拡大」「管理の確保」「特定空家等の除去等」の3本の柱を以下でそれぞれお伝えしていきます。

6-1.1本目の柱「活用拡大」

空き家の発生は、倒壊や犯罪等の危険性が高まるだけでなく、地域の活力の低下、まちづくりに悪影響を与える可能性が高まります。また、建築基準法の規制によって築年数の古い建物の建替えや改築などを行いたくても、これが障壁となり進められないことがありました。

活用拡大は、空き家を有効活用することを目指す柱とされており、具体的には以下のような施策や取り組みが含まれます。

●活用促進区域の指定と規制の緩和

市区町村が重点的に空家等の活用を図る特定の地域を「促進区域」と指定し、優遇措置や支援制度を適用することで、そこでの空き家の再利用を促進します。

また、障壁となっている建築基準法や土地利用計画の規制を緩和し、建物の用途変更や建替えを容易にし、空き家の活用を促進します。

●助成金や補助金の提供

空き家を再利用するための費用や改修費用を支援する制度が設けられました。

これにより空き家の所有者の負担を軽減し、再利用を促進します。

●地域コミュニティの支援と新たな活用モデルの開発

空き家の情報を広く公開し、活用に関する情報を提供します。

また、所有者や地域住民に対して、活用の重要性や方法について啓発活動を行うほか、空き家を利用した地域コミュニティ活動やイベントの支援を行います。

その地域に合った特性や需要の活用方法を模索し、空き家を活用した新たなビジネスモデルやコンセプトの開発が支援されます。

これらの施策により、所有者や地域住民が空き家の再利用に積極的に取り組みやすくなり、地域全体の賑わいや交流・活性化が図られます。

6-2.2本目の柱「管理の確保」

「管理の確保」は、特定空家等に指定される前の段階の「管理不全空き家」が新設されたことにより、自治体などが早期介入で「特定空き家」になるのを未然に防ぐことを目的とします。

これにより、周辺環境の改善や安全確保が図られる他、所有者に対する管理責任の明確化や適切な管理方法の指導、また必要に応じた行政措置ができるようになりました。

「管理の確保」では、以下のような具体的な取り組みが行われます。

●所有者へ管理責任の「指導」

空き家の所有者は、定期的な点検や保守、必要な修繕などを行う責任と義務があります。また、行政が空き家の状態を定期的にチェックし、「指導」することで荒虚や安全上の問題、空き家の崩壊のリスクが軽減されます。

●適切な管理方法の普及

空き家の所有者や関係者に対して、適切な管理方法や管理手法についての啓発活動や教育プログラムが実施されます。

これにより、所有者が適切な管理方法を理解し、実践することを促進します。

●行政措置の導入「勧告」

指導を受けてもなお、空き家の所有者が適切な管理を怠った場合、自治体は所有者に対し「勧告」ができます。

勧告を受けた空き家の所有者や関係者は、行政機関の指導を受けながら必要な措置を行わなけれななりません。

なお、この「勧告」を受けている間、当該の空き家は固定資産税の”住宅用地特例(1/6~1/3に減額)”が解除され、所有者は空き家にかかる税金の軽減が受けれなくなります。「勧告」が解除されれば、また住宅用地特例の対象となります。

以上の取り組みにより、空き家が適切に管理され、周囲への悪影響が最小限に抑えられます。

管理の確保は、地域の安全性や景観の維持に貢献し、地域全体の賑わいや魅力の向上に繋がると考えられています。

6-3.3本目の柱「特定空家等の除去等」

「特定空家等の除去等」の背景にはいくつかの要因があるとされ、空家や廃墟は地域の景観を悪化させ、地域全体の住みやすさを損なうだけでなく、放火や不法侵入などの犯罪の温床となったりします。

また、空家や廃墟が増えると周辺地域の不動産価値が下がり、不動産市場の停滞や資産価値の低下によって、地域経済活動に悪影響を与えたり、土地が有効活用されず、周辺地域や都市の持続的な発展や土地利用が妨げられることがあります。

このような背景から、空家等の除去等が地域の景観や安全性の向上、経済活性化、犯罪の防止といった社会問題の解決などに資する重要な取り組みとされています。

「特定空家等の除去等」では、以下のような具体的な取り組みが行われます。

●改正前は、市区町村は特定空き家の所有者から報告徴収を行う権限はありませんでした。令和5年の改正で、市区町村に所有者に対する報告徴収権を付与しました。これにより特定空き家への勧告・命令等が円滑に行えます。

●改正前は、解体許可や建築許可等の手続きには複雑な書類や命令等の手続きの必要があり、数か月以上かかることがありました。

改正で報告徴収権を付与されたことにより、倒壊の恐れなど緊急を伴う特定空き家に対し、命令等の手続きを経ずとも迅速に代執行を行えるようになりました。

●改正に伴い、空き家の解体費用や修繕費用などの代執行費に対し、略式代執行・緊急代執行においても国税滞納処分の例により、特定空き家の所有者の財産から強制的に費用を徴収できるようになりました。

●市区町村が裁判所に「財産管理人」の選任を請求することができるようになりました。財産管理人とは、空き家となっている家屋や建物の管理をする人のことを指し、通常は所有者が管理をお願いしますが、相続放棄・所有者不明などといった場合、裁判所に財産管理人の選任を請求することで、所有者に代わって市区町村が空き家の処分や修繕を実施することが可能となりました。

以上の取り組みにより、空き家や廃墟の問題が解消され、地域の景観や生活環境の安全性が向上し、地域全体の活性化が促進されることが期待されています。

7.適切な管理が行われていない、管理不全空き家等に対する措置

●助言・指導

市町村は、管理不全空き家等の所有者に対し、管理指針に従って管理不全空き家等が特定空家等にならないための措置を指導することができます。しかし、空き家の所有者が適切な管理を行っていないからといって、即時に管理不全空き家等に該当するわけではありません。

管理不全空き家等となるかどうかは、所有者による管理の状況だけではなく、空き家の状態や周辺の生活環境に悪影響を及ぼす程度も踏まえて判断されます。

●勧告

指導を行っても状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空き家等に該当されるおそれが認められた場合、所有者に対し修繕、立木竹の伐採その他に、特定空家等にならないために必要かつ具体的な措置について勧告することができる。

なお、管理不全空き家等に関しては、周辺に悪影響を及ぼす程度が特定空家等ほどではない状況であることに鑑み、命令や代執行のような強い措置はされない。

8.空き家・管理不全空き家等に対する措置による5つの手順

空き家・管理不全空家等として、所有者等に対して必要な措置をとるよう求める場合、市町村は指導・勧告を行いますが、管理不全空家等と該当する前に必要な措置、情報の提供・助言を行います。それでも所有者等が空き家に対して、必要な対策、改善等を行わなかった場合に、指導にうつります。

このように、助言・指導を行う前に勧告ができないのは、まずこれらを行うことで所有者等による自発的な改善を促すためです。

以下では、空家等の把握から勧告になるまでの手順を5つに分けてお伝えしていきます。

8-1.空家等の所有者等の事情の把握

空家等の所有者等は、自らが所有する空家等の状態を把握していない可能性や、相続により取得した等の事情により、自ら所有者であることを認識していない可能性もあります。

したがって、適切に管理されていない空家等について、まず所有者等に連絡を取り空家等の現状を伝え、今後の改善方策に対する考え、処分や活用などについての意向を所有者等の主張を含めた事情の把握をします。

その際、必ずしも書面で行う必要はなく、対面やメール、電話などを選択することも可能です。

8-2.調査

市町村は空家等の所有者等を把握するための調査の他、空家等に関する法の施行のための調査を行うことができます。まず、空家等の外観目視による調査を行い、物的状態や立木竹の状態から管理の状況を把握するほか、所有者等の承諾を得て立会いの下、敷地内や室内に入り状態などの調査を行います。

また、所有者等に対し適切な管理を行う意向についても聞き取り調査を行います。

8-3.情報の提供・助言

所有者等の事情によって、具体的な対応方策を検討します。例えば、

●所有者等に改善の意思はあるが、その対処方策が分からない

●遠方に居住しているため、物理的に自ら対策を取ることができない

●経済的な対応はできるが、身体的な理由から対応が困難である

などの場合、状況に応じて空家等の除去、修繕、管理等に関して相談を受けることができる法人や、活用できる助成制度を紹介するなど所有者等に対し、解決できるよう情報の提供・助言をします。

8-4.指導

情報の提供・助言での改善がみられなかった場合、空き家の所有者等に対して次のような指導を行います。

●どの建物が管理不全空家等の指導の対象になっているのか、その空き家が現状どのような状態になっているのか、適切な管理がされてないことにより、このままでは周辺にどのような悪影響を及ぼす可能性があるかを指導します。

●管理不全空家等が特定空家等になることを防ぐために、例えば定期的に雨水侵入の痕跡がないか点検したり、防腐処理など状態の改善を行うよう指導します。

●指導したにも関わらず、管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当する恐れがある場合、勧告を行う可能性があること、

勧告になった場合、地方税法の規定に基づき、管理不全空家等の敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されることを伝え、指導します。

8-5.勧告

市町村は指導してもなお、管理不全空家等の状態が改善がされず、放置すれば特定空家等に該当となるおそれがあり、指導した所有者等には特定空家等にならないよう、より具体的な措置をとることを勧告することができます。

●勧告が行うことができる判断の参考

・指導後、管理不全空家等の状態が勧告を行おうとする時点で状態が、所有者等によって改善に係る措置がされた形跡があるかどうか

・指導後より管理不全空家等の状態が悪化しているか、またそれにより特定空家等に該当される可能性があるかどうか

・管理不全空家等の所有者等に対して、複数回の指導をしたが改善されていない

・十分な猶予期限を与え、指導による措置を促し求めたものの、その期限内に十分な必要な措置がとられなかった

などが、勧告を行うかどうかの判断の参考になります。

●勧告の実施

・管理不全空家等の所有者等に対し、指導にとる措置に比べより具体的な装置内容を明確に示します。例えば指導では「定期的に屋根ふき材を点検し、問題があれば補修すること」といった内容ではなく、勧告では「南側の屋根ふき材の補修を行うこと」等、具体的に何をどうすればならないかを書面で行います。

・地方税の規定に基づき、管理不全空家等に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されること、それに併せ特定空家等に該当された場合は法に基づき、必要な措置をとる可能性があることを書面で行います。

管理不全空家等の所有者等が、指導または勧告に係る措置を行ったことが確認されれば、管理不全空家等ではなくなります。

そのため、固定資産税等の住宅用地特例において、要件を満たす建物であれば適用対象になります。

9.特定空家等に対して法の規定を適用した場合の措置

管理不全空家等から特定空家等に指定された空き家に対し、市町村長は空き家の所有者等に除去、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な、助言もしくは指導、勧告をすることができます。

また、管理不全空家等の段階では行えない「命令」が、特定空家等に指定された空き家等に対しては行えるようになります。

次に、命ぜられた所有者等がそれでもなお、措置を履行しない場合、もしくは履行が十分でないまたは履行しても事前に通達のあった期限内に完了する見込みがないと判断された場合、行政代執行を行うことができます。

さらに、災害その他、非常時において緊急に必要な措置をとる必要がある場合で、命令する猶予がないときは、従来の規定にかかわらず代執行することができます。これを「緊急代執行」といいます。

なお、所有者等の所在が不明で確認がとれなく、措置を命ずることができない場合、所有者の負担において「略式代執行」をおこなうことができます。

このように、特定空家等に指定されると、管理不全空家等より行政が行える措置が増えるとともにその措置の内容も厳しいものとなります。

以下で、特定空家等において行う手順をより詳しい詳細を踏まえてお伝えしていきます。

10.特定空家等に対する措置の手順

10-1.特定空家等の所有者等の事情の把握

特定空家等の所有者等の事情の把握についても、基本的には管理不全空家等と同様です。

例えば、所有者等と考えられる者に事実確認のために連絡を取ったり、空き家等が特定空家等と指定されると考えられる場合でも、ただちに報告徴収や立ち入り調査、指導などの手続きを開始するわけではなく、把握した特定空家等の所有者等の事情を考慮し、対応策を検討していきます。

しかし、周辺の生活環境に影響を与えており、速やかに措置を行う必要がある場合は、必要な手続きを行いながら勧告・命令または代執行などの措置を早急に行う可能性もあります。

10-2.報告徴収および立ち入り調査

まず、報告徴収とは空き家等の所有者等に対し、法の規定の施行に必要な限度において、空き家等に関する事項の報告を求めることができるものです。

この報告徴収は、例えば特定空家等の所有者等に対し、指導を行ったものの状態が改善されなかったために、勧告等に措置を行なう上で所有者等の意向を把握するためのものであり、その内容は主に

●当該報告を求める対象とその内容

●報告を求める期限

●当該報告徴収の責任者

●報告拒否、虚偽報告は過料に処される

  などの内容となっています。

立入調査は、外見上危険とされる空き家等について、外観目視での調査だけでは不十分で、敷地内に立ち入り建築物に触れるなどして、詳しい状況を観察・調査し、必要に応じてさらに内部に立ち入り、柱や梁などの状況を確認する必要がある場合に実施されます。

また、立入調査が必要な空き家等に対して、立入調査を実施する場合はその5日前までに、所有者等にその旨を通達します。

10-3.特定空家等の所有者等への助言又は指導

特定空家等の措置は、以前に管理不全空家等において指導又は勧告を行っていたとしても、特定空家等として新たに助言または指導を行うことから手続きを開始します。これは、空家等の所有者等に対する行政指導により、所有者等自らの意思で改善を促すためであるとされています。

●助言又は指導の告知

助言又は指導は主に書面で行われ、所有者に対して

●助言又は指導の内容及びその原因

●助言又は指導に係る措置を実施した場合、直ちに報告すること

●助言又は指導したのにもかかわらず、特定空家等の改善がされない場合、勧告を行          う可能性がある

●勧告がした場合、特定空家等の敷地について固定資産税などの住宅用地特例の対象    から除外されること

これらを所有者に対しあらかじめ告知することで、所有者が自ら改善を促します。

●助言及び指導の趣旨とその内容

特定空家等の所有者が空家等の状況を把握していない可能性もあるので、助言又は指導の趣旨を示す際には、根拠だけではなく

・どの建築物が特定空家等として助言又は指導の対象となっているのか

・特定空家等が現状どのような状態になっているのか

・周辺の生活環境にどのような悪影響をもたらしているか

 などを分かりやすく示します。

また、助言又は指導できる措置の内容は、主に特定空家等についての除去、修繕、立木竹の伐採、その他周辺の生活環境の保全のため生活環境の保全のために必要な措置などがあげられます。

なお、助言又は指導を受けた特定空家等の状態が改善されなかった場合、必ずしも直ちに勧告になるわけではなく、所有者に対し繰り返し助言又は指導を行うか、必要な措置の勧告を行うかどうか、勧告する場合はどのような措置とするか、など検討されます。

10-4.特定空家等の所有者等への勧告

●勧告の実施

助言又は指導をした特定空家等において、状態が改善されていないと判断された場合、助言又は指導を受けた者に対して相当の猶予期限を付けて、必要な措置をとることを勧告することができます。

勧告を行う際は、所有者に対し

●勧告に係る措置の内容及び原因

●勧告に係る措置を実施した場合、直ちに報告すること

●正当な理由なく措置をとらなかった場合、命令を行う可能性があること

●特定空家等の敷地について固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されること

●災害時の非常時などの場合、命令などを経ることなく緊急代執行を行う可能性があること

などを措置の内容を明確にするとともに、所有者等に明確に示す観点から書面で行われます。

なお、特定空家等の所有者等が複数人存在する場合、市町村が確知している特定空家等の所有者全員に対して勧告が行われます。

●勧告の措置の内容

勧告の措置の内容としては所有者が具体的に何をどのようにすればいいのか、理解できるように伝えます。

例えば、「壁面部材が崩落しないよう、東側2階部分の破損した壁板を撤去すること」などといった具体的な内容となります。

また、勧告の措置の内容が特定空家等の全部の除去で、動産等に対する措置を含める場合は勧告書で

・対象となる特定空家等の内部、または敷地にある動産等については、措置の期限 までに運び出し、適切な処理を行うこと

・特定空家等の除去により発生する動産等については、措置の期限までに関係法令 に従って、適切に処理を行うこと

*関係法令廃棄物の処理及び清掃に関する法律。施設工事に係る資材の再資源化        などに関する法律などがあげられる

●相当の猶予期限とは

「相当の猶予期限」とは、勧告を受けた者が措置を行うことにより、その周辺の生活環境への悪影響を改善するのに通常、要すると思われる期間とされます。具体的な期間は、対象となる特定空家等の規模や措置の内容などによって異なりますが、おおよそ物件を整理するための期間や、工事の施工に要する期間を合計したものを標準とすることが考えられています。

10-5.特定空家等の所有者等への命令

勧告を受けた者が正当な理由なく、その勧告に係る措置をとらなかった場合、その者に対し相当の猶予期限を付けて、その勧告の措置をとることを命ずることができます。

なお、緊急代執行を行う場合はこの命令及び、命令に付随する意見聴取等の手続きを経てる必要はありません。

●「正当な理由」とは

この「正当な理由」とは、例えば所有者が有する権原(その行為をすることを正当化する法律上の原因)を超えた措置を内容とする勧告がなされた場合などを想定しており、単に措置を行うために必要な金銭がないことは「正当な理由」にはなりません。

ただし、例えば措置の対象者が所有者ではなく管理者であり、特定空家等の処分を行う権原を有していない場合などは、除去等の措置をとることができない「正当な理由」となります。

●命令においての相当の猶予期限

相当の猶予期限は勧告と同様で、勧告を受けた者が措置を行うことにより、その周辺の生活環境への悪影響を改善するのに通常、要すると思われる期間とされます。具体的な期間は、対象となる特定空家等の規模や措置の内容などによって異なりますが、おおよそ物件を整理するための期間や、工事の施工に要する期間を合計したものを標準とすることが考えられています。

●所有者へ事前の通知

命令は直ちに下されるわけではなく、事前に措置を命じようとする所有者等またはその代理人に対して、通知書が交付されます。通知書に記載されている内容は

・命じようとする措置の内容及びその原因

・意見書の提出先

・意見書の提出期限

また、この通知書を受け取った者は、代理人を選任することができます。ただし、代理人の資格は書面で証明しなくてはならないこと、代理人が資格を失った場合その旨を直ちに書面で届け出なければならないので、覚えておいた方が良いでしょう。

さらに通知書を受け取った者は、その交付を受けた日から5日以内に、市町村長に対し意見書を提出する代わりに公開された場での意見の聴取を要求することができます。

なお、以前の命令内容が変更となる場合、同じ手順で通知書が交付されます。

●命じようとする措置の内容

命じようとする措置の内容は、「勧告に係る措置」の内容となります。具体的に何をどのようすればいいのか、所有者が理解できるように示されます。

●措置を命ずるに至った事由

特定空家等に命じようとする措置の内容は、どの程度の事由を示さなければならないか、法に特段の定めはありませんが、通常は以下のような内容が含まれます。

・行政機関が命令や措置を行う際の条件や基準

・手続きの進行方法や、当事者の権利の保護に関する規定

・当事者が不服申し立てをする場合の手続きや期限に関する規定

・命令や措置が行われる場合の通知方法や期限の定め

特定空家等がどのような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、その結果どのような措置を命ぜられているのか等、所有者が理解できるように示されます。

●命令の実施

①事前の通知書に記載された意見書の提出期限内に、意見書の提出がされなかった場合

②事前の通知書の交付を受けた日から、5日以内に意見聴取の要求がなかった場合

③意見書の提出、または意見聴取を経てもなお命令措置が不当でないとされた場合

これらが認められた場合は、措置の命令が行われます。

命令はその内容を所有者等に正確に伝えるため、書面で行われます。

また、措置の内容が特定空家等の全部の除去で、勧告で動産等に対する措置を含めている場合は、命令書によって

・対象となる特定空家等の内部、またはその敷地にある動産等においては、措置の 期限までに運び出し、適切な処分を行うこと

・特定空家等の除去によって発生する動産等については、措置の期限までに関係法 令に従って適切に処分を行うこと

 これらが明記されています。

さらに、命令に対し不服がある場合は、市町村長に審査請求を行うことができます。

・処分につき不服申し立てができる旨

・不服申し立てをする行政庁

・不服申し立てをすることができる期間

これらの内容を書面で伝えられます。

なお、命令に違反した者は、50万円以下の過料に処されます

10-6.特定空家等においての代執行

「所有者等に特定空家等における必要な措置を命じたのにもかかわらず、その措置を実施しなかった場合、実施しても十分ではない場合、実施しても期限内での完了が見込まれなかったとき」は、代執行される可能性があります。

●文書による戒告

代執行される前に、以下の内容が記載された内容が文書によって戒告されます。

・命じられた措置を行うのに相当の猶予が定められた期限

・その期限までに義務の措置が行われなかった時は、代執行を行う旨

●再戒告

戒告で定められた措置命令の期限までに実施されないなくても、必ずしも直ちに代執行が行われるわけではありません。

再度戒告を行い、戒告を受けた義務者が自ら実施する機会が与えられることもあります。

例えば、実施期限を延長することが許され難い状況であるか、または再戒告することで受けた者自身による実施が期待されるかなど状況が判断されます。

●代執行令書の通知

戒告を受けた者が、指定の期限までにその義務を実施しない場合は、以下の内容が記載された代執行令書を書面で通知します。

・代執行を行う時期

・代執行のために派遣する執行責任者の氏名

・代執行に要する費用の概算による見積り額

●緊急代執行の場合

非常の場合または危険切迫の場合においては、戒告及び代執行令書の手続きを経てなくても代執行を行うことができます。

●代執行における動産等の取扱い

代執行を行う措置の内容が、特定空家等の全部の除去で、命令で動産等に対する措置を含めている場合は、戒告書または代執行令書において以下の内容も明記されます。

・対象となる特定空家等の内部またはその敷地にある動産等については、実施の期限又は代執行をなすべき時期の開始日までに運び出し、適切に処分などをすること

・特定空家等の除去により、発生する動産等については関係法令にしたがって適切に処理すること

・実施する期限までに実施されない場合は、代執行する旨

また、代執行により発生した廃棄物や危険を生ずる動産等であって、所有者が引き取らない物については、関係法令に従い適切に処理されます。

●費用の徴収

代執行に要した一切の費用は、行政が義務者(所有者など)から徴収します。

費用について行政が義務者に対して有する請求権は、代執行法に基づく請求権で、義務者が徴収される金額は代執行の手数料ではなく、実際に代執行に要した費用となります。

したがって、作業員の賃金、請負人に対する報酬、資材費、第三者に支払われる補償金などは含まれますが、義務違反の確認のために要した調査費などは含まれません。

費用の徴収は、代執行法の規定により代執行の終了後に、「実際に要した費用の額」と「納期日」が定められた納付命令書によって請求されます。

10-7.略式代執行

必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくて命令対象者を確知することができないときは、略式代執行が行われます。これは、過失がなくて助言または指導及び、勧告が行われるべき者を確知することができないため、命令を行うことができない場合も含まれます。

●「過失がなくて」「確知することができない」とは?

「過失がなくて」とは、市町村長がその職務行為において、行動や行為に過失がなく、注意義務を実行したことを意味します。

また「確知することができない」とは、措置を命ぜられる者(所有者など)の氏名及び住所を知りうることができない場合、または氏名を知りえても住所を知りうることができない場合のことをいいます。

●動産等の取扱い

略式代執行を行う措置の内容が、所有者不明の特定空家等の全部の除去で、動産等に対する措置を含める場合は、事前に以下の内容が明記されたものが送られます。

・対象となる特定空家等の内部、または敷地にある動産等については、実行の期限 または代執行をする時期の開始日までに運び出し、適切に処分などをすること

・特定空家等の除去により発生した動産等については、関係法令に従って適切に処 理すること

また、代執行により発生した廃棄物や危険が生ずるおそれのある動産等で所有者が引き取らない場合、関係法令に従って適切に処理されます。

●費用の徴収

略式代執行を行った場合、義務者(所有者など)が後で判明したときなどの費用の徴収については、代執行と同様で行政が義務者から徴収します。

費用について行政が義務者に対して有する請求権は、代執行法に基づく請求権で、義務者が徴収される金額は代執行の手数料ではなく、実際に代執行に要した費用となります。

したがって、作業員の賃金、請負人に対する報酬、資材費、第三者に支払われる補償金などは含まれますが、義務違反の確認のために要した調査費などは含まれません。

費用の徴収は、代執行法の規定により代執行の終了後に、「実際に要した費用の額」と「納期日」が定められた納付命令書によって請求されます。

10-8.災害その他、非常の場合

災害その他非常の場合、特定空家等が保安上著しく危険な状態にあり除去、修繕、立木竹の伐採その他、周辺の生活環境の保全を図るため緊急の措置をとる必要があります。その際、本来なら必要とする一定の手続きを経てることなく緊急代執行として行われます。

●緊急代執行を行うことが想定される具体的なケース

ケース①災害が発生しようとしている時、災害により特定空家等の屋根が飛散す

    おそれがあるため、緊急に修繕する必要があるケース

ケース②災害の発生後、特定空家等の柱や外壁などが大きく破損し、その倒壊など    危険性が見込まれるため、緊急に除去を行い安全を確保する必要がある     ケース

ケース③災害発生の有無を問わず、特定空家等の傾きなどが著しく、緊急に除去を    行い安全を確保する必要があるケース

以上のことなどが想定されるケースになります。

11.管理不全空家等と特定空家等のそれぞれの参考基準

はじめに特定空家等に指定される4つの定義についてお伝えしましたが、ここでは管理不全空家等と特定空家等について、それぞれの定義の基準をより具体的な詳細をお伝えしていきます。

11‐1.保安上危険に関して参考とする基準

特定空家等は「そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険のおそれのある状態」、管理不全空家等は「同じくそのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態のことをいいます。

その判断は、放置した悪影響ごとに、それぞれの状態の例を参考として総合的に判断されます。

以下に状態の例をそれぞれお伝えします。

●建築物等の倒壊

1.)建築物

 (特定空家等) ・倒壊のおそれがあるほどの著しい建築物の傾斜

          ・倒壊のおそれがあるほどの著しい屋根全体の変形、または外装         材の剥落もしくは脱落

         ・倒壊のおそれがあるほどの著しい構造部材(基礎、柱、梁その他          の構造耐力上主要な部分)の破損、腐朽、蟻害、腐食などまたは          構造部材同士のずれ

(管理不全空家等)  ・屋根の変形、または外装材の剝落もしくは脱落

                   ・構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食等

              ・雨水浸水の痕跡

2.)門、塀、屋外階段等

 (特定空家等) ・倒壊のおそれがあるほどの著しい、門、塀、屋外階段等の傾斜

               ・倒壊のおそれがあるほどの著しい、構造部材の破損、腐朽

          ・倒壊のおそれがあるほどの著しい、構造部材の破損、腐朽、蟻           害、腐食または構造部材同士のずれ

 (管理不全空家等) ・構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食など

3.)立木

 (特定空家等) ・倒壊のおそれがあるほどの著しい、立木の傾斜

            ・倒壊のおそれがあるほどの著しい、立木の幹の腐朽

       

(管理不全空家等)・立木の伐採、補強等がされておらず、腐朽が認められる状態

●擁壁の崩壊

(特定空家等) ・擁壁の一部の崩壊、または著しい土砂の流出

                ・崩壊のおそれがあるほどの著しい擁壁のひび割れなどの部材の劣              化、水のしみ出し又は変状

(管理不全空家等) ・擁壁のひび割れなどの部材の劣化、水のしみ出し又は変状

                  ・擁壁の水穴の清掃等がされておらず、排水不良が認められる           状態

●部材等の落下

1.)外装材、屋根ふき材、手すり材、看板等

 (特定空家等) ・外装材、屋根ふき材、手すり材、看板、雨桶、給湯設備、屋上          水槽などの剝落または脱落

         ・落下のおそれがあるほどの著しい外壁上部の外装材、屋根ふき材         もしくは上部に存する手すり材、看板、雨桶、給湯設備、屋上水         槽などの破損、またはこれらの支持部材の破損、腐食など

(管理不全空家等)・外壁上部の外装材、屋根ふき材もしくは上部に存ずる手すり           材、看板、雨桶、給湯設備、屋上水槽などの破損、またはこれら          の支持部材の破損、腐食など

2.)軒、バルコニーその他の突出物

(特定空家等)     ・軒、バルコニーその他の突出物の脱落

          ・落下のおそれがあるほどの著しい軒、バルコニーその他の突出             物の傾き、またはこれらの支持部分の破損、腐朽など

(管理不全空家等)・軒、バルコニーその他の突出物の支持部分の破損、または腐朽          など

3.)立木の枝

(特定空家等) ・立木の大枝の脱落

        ・落下のおそれがあるほどの著しい立木の上部の大枝の折れ、または         腐朽

(管理不全空家等)・立木の大枝の剪定、補強がなされておらず折れ、または腐朽が          認められる状態

●部材などの飛散

1.)屋根ふき材、外装材、看板等

(特定空家等) ・屋根ふき材、外装材、看板、雨桶などの剝落または脱落

        ・飛散のおそれがあるほどの著しい屋根ふき材、外装材、看板、雨桶           など破損、またはこれらの支持部分の破損、腐食など

(管理不全空家等)・屋根ふき材、外装材、看板、雨桶などの破損またはこれらの支          持部分の破損、腐食など

2.)立木の枝

(特定空家等) ・立木の大枝の飛散

                ・飛散のおそれがあるほどの著しい立木の大枝の折れ、または腐朽

(管理不全空家等)・立木の大枝の剪定、補強がなされておらず折れ、または腐朽が             認められる状態

11‐2.衛生上有害に関して参考とする基準

ここでは、特定空家等は「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」、管理不全空家等は「同じくそのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態のことをいいます。

その判断は、放置した悪影響ごとにそれぞれの状態の例を参考として、総合的に判断されます。

以下に状態の例をより具体的にお伝えします。

●石綿の飛散

(特定空家等) ・石綿の飛散の可能性が高い吹付け石綿の露出、または石綿使用部         材の破損など

(管理不全空家等)・吹付け石綿の周囲の外装材、または石綿使用部材の破損など

●健康被害の誘発

1.)汚水等

(特定空家等) ・排水設備(汚水槽を含む。以下同じ。)からの汚水等の流出

              ・汚水等の流出のおそれがあるほどの著しい排水設備の破損など

(管理不全空家等) ・排水設備の破損など

2.)害虫等

(特定空家等) ・敷地などからの著しく多数の蚊、ねずみ等の害虫の発生

                        ・著しく多数の蚊、ねずみ等の害虫の発生のおそれがあるほどの、                             敷地などの常態的な水たまり、多量の腐敗したごみ等

(管理不全空家等) ・清掃等がなされておらず、常態的な水たまり、多量の腐敗し            たごみ等

3.)動物の糞尿など

(特定空家等) ・敷地などの著しい量の動物の糞尿など

                ・著しい量の糞尿などのおそれがある常態的な敷地などへの動物の                 棲みつき

(管理不全空家等) ・駆除等がなされておらず、常態的な動物の棲みつきが敷地な           どに認められる状態

11‐3.景観の悪化に関して参考とする基準

ここでは「適切な管理が行われてないことにより、著しく景観を損なっている状態」を特定空家等。「同じくそのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態」を管理不全空家等といいます。

その判断は、放置した悪影響ごとにそれぞれの状態の例を参考にして、総合的に判断されます。

以下で状態の例をより具体的にお伝えしていきます。

(特定空家等) ・屋根ふき材、外装材、看板などの著しい色褪せ、破損または汚損

                ・著しく散乱、または山積みになっている敷地などのごみ等

(管理不全空家等) ・補修などがなされておらず、屋根ふき材、外装材、看板など                        の色褪せ、破損または汚損が認められる状態

                          ・清掃等がなされておらず、散乱し、または山積みしたごみ等                              が敷地などに認められる状態

11‐4.周辺の生活環境の保全への影響に関して参考とする基準

ここでは「その他、周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態」を特定空家等。「そのまま放置すれば、特定空家等に該当するおそれのある状態」を管理不全空家等といいます。

その判断は、放置した悪影響ごとにそれぞれの状態の例を参考にして、総合的に判断されます。

以下で状態の例をより具体的にお伝えしていきます。

1.)汚水等による悪臭の発生

(特定空家等) ・排水設備(浄化槽を含む。以下同じ。)の汚水等による悪臭の発生                                                               ・悪臭の発生のおそれがあるほどの著しい、排水設備の破損など

                        ・敷地などの動物の糞尿など、または腐敗したごみ等による悪臭の                      発生

               ・悪臭の発生のおそれがあるほどの著しい、敷地などの動物の糞尿な           ど、または多量の腐敗したごみ等

(管理不全空家等) ・排水設備の破損など又は封水切れ

                               ・駆除、清掃などがなされておらず、常態的な動物の棲みつ                                                                                   き、または多量の腐敗したごみ等が敷地などに認められる状                                               態

2.)不法侵入の発生

(特定空家等) ・不法侵入の形跡

                        ・不特定の者が容易に侵入できるほどの著しい開口部等の破損など

(管理不全空家等) ・開口部等の破損など

3.)落雪による通行障害などの発生

(特定空家等) ・頻繁な落雪の形跡

                   ・落下した場合に歩行者などの通行の妨げ等のおそれがあるほどの                                            著しい屋根などの堆雪(たいせつ)又は雪庇(ゆきびさし)

(管理不全空家等) ・通常の雪下ろしがなされていないことが、認められる状態

                               ・雪止めの破損など

4.)立木等による破損・通行障害などの発生

(特定空家等) ・周囲の建物などの破損、または歩行者等の通行の妨げなどのおそ                                            れがあるほどの著しい立木の枝などのはみ出し

(管理不全空家等) ・立木の枝の剪定等がなされておらず、立木の枝等のはみ出し                                が認められる状態

5.)動物などによる騒音の発生

(特定空家等) ・著しい頻度または音量の鳴き声を発生する動物の敷地等への棲み                         つきなど

(管理不全空家等) ・駆除等がなされておらず、状態的な動物の棲みつきなどが敷                                地等に認められる状態

6.)動物などの侵入等の発生

(特定空家等) ・周辺への侵入等が認められる動物の棲みつき

(管理不全空家等) ・駆除等がなされておらず、状態的な動物などの棲みつきが敷                                地等に認められる状態

12.空き家にしないために大切なこと

空き家が発生する原因のほとんどが「相続」です。

親が他界したり、高齢者施設などに入居したため住まなくなった実家を相続したものの、遠方に住んでいたり既に持ち家を購入しており、実家で暮らす予定がないまま放置してる状態が続いてしまってるため、結果的に管理不全空家等や特定空家等に分類される「空き家」となります。

これが「問題の空き家」が発生する一番の要因です。

そうならないために、住まなくなった後の実家をどうしてほしいか、話し合うことが必要で大切なこととなります。

自分たちが住まなくなった後、空き家になってしまう家を「誰が相続するのか?」「相続後は誰が住むのか?」「誰も住まない場合の管理は誰がするのか?」「売却するのか?借家として貸すのか?それとも解体して更地にするのか?」このような話し合いを関係者たちで事前に話し合うことで、いざ実家などが空き家になった時に問題が先延ばしにならず済みます。

13.空き家を放置しないための方法

空き家を発生させたり放置しないために、空き家をどうするか方針を決め、その方針に合ったサービスなどを活用することが重要です。

例えば、空き家を「売りたい、貸したい」と考えているのであれば、不動産に相談するだけではなく「空き家バンク」に登録したり、最近では空き家活用サービスを展開している民間企業も増えてきています。

13‐1.自治体に空き家について相談をする

全てではありませんが、自治体によっては空き家の相談窓口が設置されており、空き家の所有者の方針に合った専門家や事業者等の紹介を行っている自治体もあります。

既に空き家を所有している、あるいは今後空き家を相続する可能性がある。などで、何とかしたいが何をどうしたら良いのか、何からすべきなのか分からない、どこに相談すれば良いのかも分からない。などといった場合、先ずは空き家がある自治体に相談してみましょう。

13‐2.空き家・空き地バンクに登録する

空き家を「売却したい・貸したい」と考えているのであれば、不動産に相談するだけではなく、空き家・空き地バンクに登録するという方法もあります。

空き家・空き地バンクとは、空き家対策として各地方自治体などが空き家や空き地の情報を、WEBサイトを活用する等して利活用を希望している方に紹介している取り組みで、現在、全国の約7割の自治体が設置・運営しています。

都市部や市街地の空き家なら、買い手や借り手は見つかりやすいですし、不動産も積極的になってくるでしょう。

しかし、郊外になればなるほど買い手、借り手とも少なくなりますし、価格も安くなるため不動産も消極的になります。

そうした時に空き家・空き地バンクに登録しておけば、全国の空き家を「買いたい・借りたい」といった人が登録された物件の中から自分に合った物件を検索でき、申し込みをしてきた人に売却したり、貸したりすることができます。

まずは、お持ちの空き家のある自治体が「全国版空き家・空き地バンク」を設置しているか確認してみましょう。

国土交通省「全国地方公共団体空き家・空き地情報サイトリンク集ページ」

13‐3.空き家管理サービスを利用する

空き家は放置せず、適切な管理がされていればトラブルはほとんどおきないでしょう。しかし、現実問題として忙しかったり遠方に住んでいるため自分で適切な管理を行えない方が多いかと思います。

そういった方のためにおすすめするのが、民間企業が有料で行っている「空き家の管理代行サービス」の利用です。

具体的なサービスの内容や費用は事業者によって異なりますが、定期的な巡回を行い目視による外観のチェックや、写真付きで報告をしてくれるサービスなどがあります。

中には、オプションで郵便物の整理や不法投棄などのゴミの処理、雨漏りの修繕、枝や雑草の手入れなど様々なサービスをしてくれるところもあります。

もし、あなたが空き家の管理で困っていたり悩んでいるのであれば、「空き家の管理代行サービス」を行っている民間企業に依頼するのも一つの手かと思います。

その際は、2〜3社に相談してみてご自身に合ったサービスを提供してくれるところを選ぶことをおすすめします。

13‐4.空き家をリフォームする

住む人がいなくなり使われなくなった空き家は、その時間が長ければ長いほど建物の劣化のスピードが進みます。

そうなると、たとえ「貸したい」という考えがあっても、老朽化が進んでいるため容易ではなくなるでしょう。

そのような場合、事前にリフォームやリノベーションすることで、賃貸といった選択肢のハードルがいっきに低くなります。

しかし、リフォームといっても「住宅として貸したい」のか「店舗として貸したい」かなど、用途や立地などによって内容は様々です。

まずは、用途に応じたリフォームを検討するため、事業者や自治体に相談してみるのも良いでしょう。

また、リフォーム工事を行う場合、一定の条件を満たせていれば国や各自治体の補助金を受けれることもあるので、それも併せて調べておきましょう。

下記に、「住宅リフォームの支援制度(令和5年6月16日時点)」のリンクがありますので参考にしてみて下さいね

住宅リフォームの支援制度(令和5年6月16日時点)

13‐5.空き家を活用する

空き家は手放したくないけど、自分で管理することが困難なので、劣化を防ぐためにも誰かに使ってもらいたい。などといった場合は、民間企業やNPO法人などが行っている「空き家活用サービス」を利用することをおすすめします。

この空き家活用サービスは民間企業などが、誰かに活用してもらいたい空き家の所有者と、空き家を活用したい人の間に入って仲介の役割をしたり、空き家の賃貸・管理などを行うサービスです。

最近ではこのような民間企業などの空き家活用サービスが人気となっており、空き家を活用して飲食店やシェアハウス、民泊施設などが例にあげられます。

空き家を活用してもらうことで、劣化を防げますし家賃収入が入るメリットがあります。

空き家を活用してもらいたい場合は、空き家活用サービスを展開している民間企業やNPO法人などを一度調べてみるのも良いでしょう。

13‐6.空き家を売却する

空き家の解決法として、最も多いといわれているのが売却です。

その理由として、空き家の管理の手間から解放されたい、固定資産税などの負担がつらい、売却して現金化したいなどがあげられます。

また売却の方法はいくつかあり、例えば

・建物付きの土地として売却

・更地にして売却

・必要な部分をリフォームして売却

などがあります。売却を検討しているのであれば、不動産などといった専門家に一度相談してみるのも良いでしょう。

13‐7.空き家を解体(除去)する

更地にした後の土地を売却するのか、駐車場として活用するのかなど使い道が決まっているのであれば、老朽化した空き家を解体して更地にするのも一つの方法です。

解体する場合、国や各自治体から解体費用として補助金がでる可能性もあります。自治体に関してはそれぞれの自治体によって補助金の取り組みは異なりますので、解体を検討してるのであれば、まずは空き家がある自治体に相談してみましょう。

自治体によっては、解体業者を紹介してくれる場合もあります。

しかし、ここで気を付けなければならないのが、「更地にした後の使い道が決まっているかどうか」です。もし、決まっていないなら解体するのは早計かもしれません。

何故ならば、固定資産税は「居住用家屋」がある場合に減免されるからです。「居住家屋」は実際に住んでるかどうかで判断されるわけではないため、家屋があれば殆どが減免の対象となるわけです(ただし、管理不全空家等で勧告、特定空家等に指定された空き家等に関しては除外)

よって、更地後の土地の使い道の予定がなく、さらに緊急の対応が必要な空き家でなければ、他にも方法はないか探してみるのも良いでしょう。

14.空き家対策・その他対策に関する税制特例

14‐1.空き家の発生を抑制するための特例措置

   (空き家の譲渡所得の3.000万円特別控除)

被相続人が居住していた家屋及びその敷地等を相続した相続人が、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして当該家屋、または土地を譲渡した場合は、当該家屋または土地の譲渡所得から3.000万円(注)特別控除されます。

(注) 2024年(令和6年)1月1日以降に行う譲渡で、被相続人が居住していた家屋及び敷地等を相続、または遺贈により取得した相続人の数が3人以上いる場合の控除は2.000万円となります。

さらに、2023年(令和5年)12月31日までとされていた、本特例措置の適用期間が2027年(令和9年)12月31日まで延長されました。

また、特例の対象となる譲渡についても、これまでは当該家屋(耐震性のない場合は、耐震改修工事をしたものに限りその敷地を含む。)または取り壊し後の土地を譲渡した場合が対象でしたが、譲渡後、譲渡の日に属する年の翌年2月15日までに当該建物の耐震改修工事、または取り壊しを行った場合でも適用対象となりました。

ただし、これは2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡が対象となります。

●適用を受けるための主な要件

・1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと

・相続開始の直前において(高齢者施設などに入所の場合は、入所の直前)被相続人以外に、居住していた人がいなかったこと

・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡していること

・相続の時から譲渡、または取壊し等の時まで、事業用、貸付用または居住用に使用されたことがないこと

・譲渡価格が1億円以下であること

・親子や夫婦など特別の関係がある人に対して譲渡したものでないこと

※特別の関係には、このほか生計を一つにする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3.000万円特別控除)

国土交通省

14‐2.居住用財産の譲渡に関する特例措置

マイホーム(居住用財産)を売った時は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3.000万円まで控除できる特例があります。

これを「居住用財産を譲渡した場合の3.000万円の特別控除の特例」といいます。

●適用を受けるための主な要件

自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を譲渡すること。

また、以前に住んでいた家屋または敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

(注) 住んでいた家屋、または住んでいた家屋を取り壊した場合は、別に必要な要件があります。

・譲渡した年、その前年および前々年にマイホームの買い替えや、マイホームの交換の特例の適用を受けていないこと

・災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

・譲渡する者と譲渡される者が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、この他生計を一つにする親族、家屋を譲渡した後その家屋で同居する親族、内縁の関係にある者、特殊な関係にある法人も含まれます。

「居住用財産を譲渡した場合の3.000万円の特別控除の特例」国税庁

14‐3.低未利用土地等を譲渡した場合の、長期譲渡所得の特別控除

個人が、2020年(令和2年)7月1日から2025年(令和7年)12月31日までにおいて、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下(一定の場合は800万円以下)で売った場合には、その年の低未利用土地等の譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除することができます。

その譲渡所得の金額が100万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額となります。

●適用を受けるための主な要件

・譲渡した土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地等であること。

(注) 低未利用土地等とは、居住、事業、その他の用途に利用されておらず、またはその利用の程度が、その周辺の地域における同一の用途、もしくはこれに類似する用途に利用されている土地の利用の程度に比べ、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存ずる権利のことをいいます。

・譲渡した土地の1月1日において、所有期間が5年を超えること。

・譲渡した者と譲渡された者が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。特別な関係には生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人も含まれます。

・譲渡した後に、その低未利用土地等の利用がされること。

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除:国税庁

最後に

これまでもお伝えしてきましたが、今や深刻な社会問題ともなっている「空き家問題」。

この問題に終止符を打つべく「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。これにより、行政が介入できる範囲が大幅に広がったことで空き家に対する対応・対策・早期解決が行えるようになりました。

しかし、現状問題はまだまだ山積みでもあります。その山積みの問題をなくしていくには、空き家を所有している、今後空き家を所有する可能性のある所有者の空き家問題を解決するという責任感・義務感なくしては行えない問題です。

また、最近では空き家の管理から活用・売却等まで提供している民間企業やNPO法人も増えてきており、今までより空き家対策における解決法の選択肢も増えています。まずは、ご自身が現在抱えている空き家問題を今後どうすれば良いか、どうしたいのか。をこの記事を通して考えるきっかけとなれば幸いです。

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