「空き家問題」~空き家の定義とされる参考基準・保安上危険となる基準は?~

空き家について

皆さん、こんにちは。

ここまで空き家問題に関して、さまざまな情報をお伝えしてきました。
空き家問題を解決すべく、「空き家対策の推進に関する特別措置法」の施行、2023年にはその一部を改正した改正法の施行。改正法によって特定空家等に指定される前の段階「管理不全空家等」の位置づけ。

空き家問題の解決にはまだ課題は残されてはいますが、解決に向けて前進していることは確かです。

はじめに特定空家等に指定される4つの定義についてお伝えしましたが、今回は管理不全空家等と特定空家等について、それぞれの定義の参考基準のうち「保安上危険」に関する参考基準をより具体的にお伝えしていきます。

特定空家等は「そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険のおそれのある状態」
管理不全空家等は「同じくそのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態のことをいいます。その判断は、放置した悪影響ごとに、それぞれの状態の例を参考として総合的に判断されます。

以下に状態の例をそれぞれに分けてお伝えします。

●建築物等の倒壊

1.)建築物      

 (特定空家等) ●倒壊のおそれがあるほどの著しい建築物
●倒壊のおそれがあるほどの著しい屋根全体の変形、または外装材の剝落もしくは脱落                            
●倒壊のおそれがあるほどの著しい構造部材(基礎、柱、梁その他の構造耐力上主要な      
部分)の破損、腐朽、蟻害、腐食などまたは構造部材同士のずれ 

(管理不全空家等)  ●屋根の変形、または外装材の剝落もしくは脱落
●構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食等
●雨水浸水の痕跡

2.)門、塀、屋外階段等

 (特定空家等) ●倒壊のおそれがあるほどの著しい、門、塀、屋外階段等の傾斜              
  ●倒壊のおそれがあるほどの著しい、構造部材の破損、腐朽
     ●倒壊のおそれがあるほどの著しい、構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食
         または構造部材同士のずれ

 (管理不全空家等) ●構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食など

3.)立木

 (特定空家等) ●倒壊のおそれがあるほどの著しい、立木の傾斜
  ●倒壊のおそれがあるほどの著しい、立木の幹の腐朽

(管理不全空家等)●立木の伐採、補強等がされておらず、腐朽が認められる状態

●擁壁の崩壊

(特定空家等) ●擁壁の一部の崩壊、または著しい土砂の流出
●崩壊のおそれがあるほどの著しい擁壁のひび割れなどの部材の劣化、
        水のしみ出し又は変状

(管理不全空家等) ●擁壁のひび割れなどの部材の劣化、水のしみ出し又は変状
●擁壁の水穴の清掃等がされておらず、排水不良が認められる状態

●部材等の落下

1.)外装材、屋根ふき材、手すり材、看板等

 (特定空家等) ●外装材、屋根ふき材、手すり材、看板、雨桶、給湯設備、屋上、水槽などの剝落
         または脱落
●落下のおそれがあるほどの著しい外壁上部の外装材、屋根ふき材、もしくは
         上部に存する手すり材、看板、雨桶、給湯設備、屋上水槽などの破損、または
         これらの支持部材の破損、腐食など

(管理不全空家等)●外壁上部の外装材、屋根ふき材もしくは上部に存ずる手すり材、看板、雨桶、
         給湯設備、屋上水槽などの破損、またはこれらの支持部材の破損、腐食など

2.)軒、バルコニーその他の突出物

(特定空家等)     ●軒、バルコニーその他の突出物の脱落
●落下のおそれがあるほどの著しい軒、バルコニーその他の突出物の傾き、
         またはこれらの支持部分の破損、腐朽など

(管理不全空家等)●軒、バルコニーその他の突出物の支持部分の破損、または腐朽など

3.)立木の枝

(特定空家等) ●立木の大枝の脱落
●落下のおそれがあるほどの著しい立木の上部の大枝の折れ、または腐朽

(管理不全空家等)●立木の大枝の剪定、補強がなされておらず折れ、または腐朽が認められる状態

●部材などの飛散

1.)屋根ふき材、外装材、看板等

(特定空家等) ●屋根ふき材、外装材、看板、雨桶などの剝落または脱落
●飛散のおそれがあるほどの著しい屋根ふき材、外装材、看板、雨桶など破損、
        またはこれらの支持部分の破損、腐食など

(管理不全空家等)●屋根ふき材、外装材、看板、雨桶などの破損またはこれらの支持部分の破損、腐食         
など

2.)立木の枝

(特定空家等) ●立木の大枝の飛散
●飛散のおそれがあるほどの著しい立木の大枝の折れ、または腐朽

(管理不全空家等)●立木の大枝の剪定、補強がなされておらず折れ、または腐朽が認められる状態

以上、今回は「特定空家等」と「管理不全空家等」それぞれの定義の参考基準のうち「保安上危険に関する」をお伝えしました。

ご自身が所有者となっている空き家の現状が保安上どのような状態なのか、参考にしていただけると幸いです。

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