「相続について」~遺産相続の手続きには期限がある!遺留分の割合と計算式

遺産相続と相続税

皆さん、こんにちは。

前回、「遺産分割協議書」の手続き、作成の手順をお伝えしました。

遺産分割協議書には相続人全員分の署名、実印の押し印、印鑑証明書が必ず必要なこと。

また、相続した財産についての名義変更は、この「遺産分割協議書」がなくては行えないということ。

この二点は、遺産分割協議書において大切なことなので、忘れずにおいてください。

今回は、遺産相続の手続きについて、一年以内にするべき手続き「遺留分侵害額請求」の続きからお伝えしていきます。

前回でもお伝えしましたが、遺留分侵害額請求とは、例え遺言書に一人の相続人にだけ全財産を譲り渡すとあっても、一定の相続人は「遺留分」という法律上、取得することが保証されている最低限の取り分を請求できる権利のことです。

これらをふまえて、遺留分侵害額請求についての続きをお伝えしていきます。

遺留分の割合

遺留分の割合は、「法定相続割合の1/2もしくは1/3」と決められています。

例えば、法定相続財産が6.000万円だったとしたら、遺留分はその半分の3.000万円となります。

また、配偶者は常に相続の対象となります。

子ども(孫)が複数人いる場合はさらに人数分均等に分けます。

【相続人の遺留分割合】

・配偶者のみ(夫、妻)・・・1/2

・子供または孫のみ・・・1/2

・父母または祖父母のみ・・・片親1/3 両親(両祖父母)1/6

・兄弟または甥、姪のみ・・・権利なし

・配偶者と子ども(孫)・・・配偶者 1/4 子ども(孫)1人につき 1/4

・配偶者と父母(祖父母)・・・配偶者1/3 父母(祖父母) 片親1/6 両親(両祖父母)1/12

・配偶者と兄弟(甥、姪)・・・配偶者1/2 兄弟(甥、姪) 権利なし

また、遺留分は「法定相続割合の1/2もしくは1/3」と2つのパターンがありますが、1/3は父母(祖父母)のみだった場合だけと限られており、父母(祖父母)のみのケースは、あまりないので基本的に1/2と考えて良いでしょう。

遺留分を計算する時に必要な財産額の計算式

遺留分を算出するためには、まず基礎となる財産額がいくらなのか計算しなくてはなりません。

計算式は下記の通りです。

【相続財産(相続開始時)】+【生前贈与(1年以内)】+【特別受益(10年以内)】-【債務(借金など)】=遺留分の基礎となる財産額

それぞれ以下で詳しく説明していきます。

2-1.相続財産(相続開始時)・・・不動産などは評価方法を決め、算定する必要があり、土地だと公示価格や路線価、ビルなどの建物は固定資産税評価額に従い評価するのが一般的だとされています。

ここで注意しなければならないのは、財産の評価額は相続開始日であって、遺留分侵害額請求時ではないことを忘れないでください。

2‐2.生前贈与(相続開始前1年以内)・・・誰に生前贈与したか関係なく、相続開始前から1年以内のものについては、遺留分の基礎となる財産に加えることができます。

ただし、被相続人と生前贈与を受けた側の両方が「その贈与によって、相続人の遺留分を侵害すると認識していた」場合は、1年以内という期間に関係なく、遺留分の基礎となる財産に加えることができます。

2‐3.特別受益(10年以内)・・・特別受益とは、「特定の相続人だけが被相続人から受け取った利益」のことをいいます。

例えば、婚姻のための贈与、起業するための贈与、家を建てるための贈与、多額の保険金、などが特別受益に該当します。これは、不公平を解消するためのものです。

例えば、配偶者と子ども2人のケースで、長男だけが家を建てる時の頭金として500万円の贈与を受け取っていた場合が特別受益になる可能性があります。

特別受益を遺留分の基礎となる財産に加えることができるのは、相続開始前から10年以内です。

2‐4.債務(借金など)・・・被相続人に債務がある場合は、全額を差し引きます。

ただし、被相続人が負っていた債務だけにかぎられており、葬儀代はあてはまりません。

例として、消費者金融からの債務、家賃や医療費の未払い、事業資金の借り入れなどがあります。

以上、今回は相続人ごとの遺留分割合と、遺留分の基礎となる財産額の計算式とそれぞれの詳しい説明をお伝えしました。

遺留分侵害額請求を行うにあたり、計算式があったりと難しく感じるかもしれませんが、ご自分の遺留分割合と計算式さえ覚えていれば、そう難しいことではありません。

次回は遺留分の基礎となる財産額の計算式を使った具体的な例を交えてお伝えしていきます。

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