皆さん、こんにちは。
前回、遺産相続するにあたって、「亡くなってから2~3か月以内にするべき手続き」をお伝えしました。
今回は、「亡くなってから4か月以内にするべき手続き」からお伝えしていきますので、参考にしてみてください。
4カ月以内にすべき手続き
1.準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内!!)
故人に所得があった場合、亡くなった年の確定申告を自分で行うことができません。
そのため、故人の代わりに確定申告することを【準確定申告】といいます。申告が必要なのは次のケースです。
①個人事業所得、不動産賃貸所得がある場合
②給与所得が2.000万円を超えてた場合
③複数の企業から給料がある場合
※ただし、副業の所得が20万円以下なら申告の必要はありません
④公的年金の収入が400万円を超える場合(国民年金、厚生年金、老齢年金、恩給など)
※400万円以上でも「公的年金に係る雑所得以外の所得」が20万円を超える場合も申告が必要です。
2.準確定申告が不要なケース
①会社で年末調整されている
②公的年金が一年間で400万円以下
③副業による収入が20万円以下
④相続人が相続放棄した場合(ただし、相続人が複数名いる場合はその中の一人もしくは複数人が連名で申告しなければなりません)
3.準確定申告は不要だが、申告することで還付金が戻ってくるケース
・医療費が高額だった場合(セルフメディケーションを含む)
故人の亡くなった年の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで医療費控除され、還付金が戻ってくることがあります。
申請には医療明細書やレシートが必要になるので、日頃から一つにまとめて保管しておくようにしましょう。
・源泉徴収額を納めすぎている場合
年末調整を受ける前に、亡くなってしまった場合は、源泉徴収で税金を多く納めてる可能性があるため、申告をすることで税金か還付されます。
・配偶者控除、扶養者控除などの控除を受ける場合
故人に配偶者や扶養者がいる場合や、自然災害、盗難により故人の資産に損害(雑損控除)があった場合、また生前に一定額の寄付をしていた場合「特定寄付金」という所得税の寄付金控除があります。
ただし、「特定寄付金」の場合、寄付先が寄付金控除の対象か確認する必要があります。
4.準確定申告が2回分必要となる場合もあるので注意が必要!
準確定申告は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」が期限とされています。
例えば、12月20日に亡くなった場合の期限は4月20日となり、確定申告の期限(3月15日)を過ぎますが、準確定申告の期限が優先となるため問題ありません。
しかし、相続開始の日付けによっては、準確定申告が2回分必要になることもあるので注意が必要です。
(注)確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、この場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。(国税庁ホームページ:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告))
具体的な例・・・令和5年分の確定申告書を提出しないまま、翌年令和6年の2月15日に亡くなった場合、令和5年度の所得については既に確定されているので令和5年度分の準確定申告もする必要があります。
その場合は令和5年分と令和6年1月1日〜2月15日(死亡日)までの2回分の準確定申告を期限の6月15日までにまとめて申告します。
なお、期限までに準確定申告を行わなかった場合は無申告加算税と延滞税のペナルティを支払うことになるので、必ず期限は守りましょう。
5.準確定申告の手順
準確定申告も、通常の確定申告のやり方とほぼ同じです。
大きく違うのは、期限が「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」ということと、故人に代わって相続人が必要な書類の準備と申告の提出を行うという点です。
1.相続人全員に連絡をする・・・準確定申告は包括受遺者を含めた相続人全員で手続きを行う必要があるので、まずは「準確定申告が必要である」ことを相続人全員に伝えましょう。
2.代表者を決める・・・相続人が複数人いる場合は、「確定申告付表」に全ての相続人の署名が必要となります。
それぞれの相続人が別々に申告することも可能ですが、申告内容は他の相続人にも伝えなければならず、また時間もかかり混乱の恐れもあることから、代表者を決めて連署して提出する方法が得策でしょう。
3.必要な書類を揃える・・・まず忘れてはならないのは、医療費や年金の控除、領収書等の保管場所や、それらを含めた必要書類が手元に届くまでの所要時間をしっかり把握しておくことです。
余裕を持って行うことで、準確定申告ギリギリになり慌てる事態も防げます。
6.確定申告の必要書類
1.確定申告書(A)もしくは(B)・・準確定申告書も通常の確定申告と同じで、2種類あります。
どちらが必要かは被相続人の職業や収入によって違います。
【申告書(A)】被相続人が給与のみ(会社員、パート等)、もしくは年金のみの所得だった場合
【申告書(B)】被相続人が個人事業所得、不動産所得やその他、給与以外での所得があった場合。
※なお、確定申告書は国税庁ホームページからダウンロードができます。
2.被相続人の所得及び復興特別所得税の確定申告書付表(相続人が2人以上の場合)・・税務署窓口か、国税庁ホームページからダウンロードできます。
3.被相続人の給与所得の源泉徴収票・・勤務先に連絡して発行してもらいましょう。
4.被相続人の公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の源泉徴収票・・日本年金機構、年金事務所や年金相談センターの窓口に問い合わせて発行してもらいましょう。
(注)年金受給停止の手続きをしてから、源泉徴収票が届くまで2~3か月かかるとされているため、相続開始とともに年金受給停止の手続きを行いましょう。※「年金受給者死亡届」の提出期限は国民年金は死亡した日から14日以内、厚生年金は10日以内です。
また日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は不要です。
5.被相続人の医療費の領収書・・医療費控除の申告をする時に必要となります(※年間10万円以上かかった場合に限る)
6.被相続人の保険等の控除証明書・・生命保険、社会保険、地震保険、小規模企業共済等掛金が所得控除の対象です 。
なお、保険会社によって発行時期が異なるので、余裕をもって早めに保険会社に確認し発行してもらいましょう。
7.委任状・・還付金があり、かつ相続人の代表者が一括で受け取る際は、他の相続人による委任状の提出が必要となります。
※税務署窓口あるいは国税庁ホームページからダウンロードできます。
8.申告者の本人確認書類・・
【マイナンバーカードがある場合】マイナンバーカードの両面のコピー
【マイナンバーカードがない場合】
①マイナンバーが記載された住民票などの写し、あるいは通知カードのいずれか1点。
②身分が確認できる、運転免許証、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳、在留カードのいずれか1点。
7.準確定申告の書き方
基本的には、通常の確定申告とやり方はほぼ変わりません。
下記を参考にされてください。
相続人もしくは包括受遺者が1人の場合 ※国税庁ホームページから抜粋
相続人もしくは包括受遺者が2人以上の場合 ※国税庁ホームページから抜粋
以上、今回は4か月以内にするべき手続きとその期限をお伝えしました。
準確定申告は、通常の確定申告と手続き方法がほぼ同じで、必ず行わなければならない手続きです。
期限内に必ず終わらせましょう。
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