「相続について」~みなし相続財産って何?みなし相続財産を知ろう~

遺産相続と相続税

皆さん、こんにちは。

「みなし相続財産」みなし相続財産という言葉自体初めて耳にする方が多いのではないでしょうか。今回は「みなし相続財産」とはどういった財産のことを指すのか、そこからお伝えしていきます。

「みなし相続財産」って何?

「みなし相続財産」とは民法上では相続財産に含まれませんが、税法上では相続財産とみなされるものをいいます。
代表的なものとして、生命保険、死亡退職金等があげられます。これらは被相続人(故人)がもともと所有していたものではなく、被相続人が亡くなったことをきっかけに受け取る財産のため、税法上では相続財産とみなされます。

みなし相続財産の主な3種類

①生命(死亡)保険

被相続人の死亡により保険会社から支払われ受け取る保険金は、みなし相続財産として相続税が課せられます。ただし、相続税は被相続人が保険料の負担をしていた場合にかぎります。
保険料の負担が被相続人ではない場合は「所得税」や「住民税」が課せられます。保険料の負担、被保険者、受取人がそれぞれ別の場合は「贈与税」が課せられるので注意が必要です。
それぞれ具体例をまとめましたので、参考にしてみてください。

A 保険料負担者が夫(被相続人) 
●被保険者:夫(被相続人) ●受取人:妻(相続人) ●課税される税金➞【相続税】

B 保険料負担者が妻(相続人) 
●被保険者:夫(被相続人) ●受取人:妻(相続人) ●課税される税金➞【所得税(一時所得)】

C 保険者負担が妻(相続人) 
●被保険者:夫(被相続人) ●受取人:子(相続人) ●課税される税金➞【贈与税(妻→子)】

②死亡退職金

被相続人の死亡によって、勤務先から支払われる「死亡退職金」もみなし相続財産とされます。ただし条件があり、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定されたものにかぎり、死亡後3年経過後は「所得税」が課せられます。

③生前贈与財産

条件によっては、みなし相続財産となり、相続税が課せられます。

●被相続人の死亡前(7年以内に贈与により取得した財産)・・・相続開始前7年以内に被相続人から贈与により財産を取得した場合は、それらは相続税の課税価格に加算されます。
令和5年度(2023年)の税制改正により、生前贈与の加算適用期間が3年から7年に変更になりました。令和6年(2024年)1月1日の贈与からの適用となります。

●相続時精算課税・・・この制度は累計2500万円まで贈与税が非課税となる制度です。
また同一の父母もしくは祖父母からの贈与は累計2500万円まで何回でも控除することができ、相続時精算課税は選択制でもあるので、父からの贈与は選択するが、母からのはしないなどと選ぶことができます。ただしこれは、一度選択したら取り消すことはできません。
またこの制度は誰でも利用できるわけではなく、次の条件が設けられています。

●【贈与者(贈与する人)】贈与した年の1月1日時点で、60歳以上の父母もしくは祖父母であること
●【受贈者(贈与を受けた人)】贈与者の直系卑属(子や孫)であり、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること。

その他のみなし相続財産に含まれるもの

●定期金・・・被相続人が掛金を支払い、相続人が受取人の場合の個人年金などです。
●信託受益権・・・信託銀行などに遺産を預け、運用、管理を任せることを「信託」といい、遺言によって信託からの利益を受ける場合、相続税の対象となります。
●債務の免除・・・遺言により免除された債務もみなし相続財産として扱われます。例えば、亡くなった被相続人に300万円借りていたが、遺言によって免除された場合、相続税は免除された300万円に対して課税されます。
●公共法人から受け取る利益・・・一定の法人に対して遺贈が行われた場合、その法人と特別な関係がある物が、特別な利益を受けた場合において、その利益に相続税が課税されます。

みなし相続財産について知っておくべきこと

●相続放棄しても受け取れる・・・みなし財産は厳密には相続財産ではなく、相続がきっかけで取得する財産のため、相続放棄していても受取人になっていれば受け取ることができます。ただし、相続放棄してる場合は「非課税枠」は使えません。
●一定額まで非課税・・・「生命保険」と「死亡退職金」においては【500万円☓法定相続人の数】という非課税枠があります。例えば、配偶者と子の二人で被相続人にかけていた生命保険金を受け取る場合、【500万円☓2(妻と子)の1000万円】までが非課税枠となります。法定相続人の数には、相続放棄した人も含まれます。
ただし相続人ではない人、もしくは相続放棄した人が取得する場合は非課税枠の対象外となります。
●遺産分割の対象ではない・・・みなし相続財産は受取人が決まっており、相続人固有の財産となるため、遺産分割協議の対象にはなりません。

以上、今回は「みなし相続財産」についてお伝えしました。

皆様のお役に少しでも立てますように。

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